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今日は小説の紹介ー。
私の大好きな和風ファンタジーものでござい。

伏 贋作・里見八犬伝
(桜庭一樹、文藝春秋、2012年9月25日第2刷、667円+税)

時は江戸時代。
伏と呼ばれる若者による凶悪事件が頻発し、その首に幕府は懸賞金をかけた。
伏とは──人にして犬、体も心も獣のよう。ひどく残酷な面があり人々から恐れられる一方で、犬の血なのか驚くほど人懐っこいところもあるという。
ちっちゃな女の子だが腕利きの猟師、浜路は浪人の兄に誘われ、伏を狩りに山から江戸へやってきた。獣の臭いに敏感な浜路はすぐさま伏に気づき追いつめる。
そんな浜路のまわりをうろつく瓦版の読売、冥土から、浜路は伏にまつわる世にも不思議な物語を聞く。そして冥土に誘われた場所で、一匹の伏をみつけた浜路。追いかけるうちに、伏とともに江戸の秘密の地下道へと落っこちる。真っ暗闇の中で、狩るものと狩られるものによる特別なひとときがおとずれた――。

(上記サイトのあらすじより)

タイトルから分かる通り、滝沢馬琴の南総里見八犬伝をベースにしたお話です。
江戸の町に潜む人と犬の混血である伏と、それを狩る猟師の娘・浜路との邂逅。
そして伏出生の秘密を記した小説「贋作・里見八犬伝」が作中作として語られ、物語は厚みを帯びていきます。
紡がれる世界は美しく、幻想的でした。
文章そのものに重厚感はないものの、逆にいえば読みやすい文体で深い世界を味わうことができます。
アニメチックな雰囲気は、実際にアニメ映画にもなっています。

和風ファンタジー好きとして推したい一作。
今日はここまで、あでゅ~。

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普段あんまり洋書を読まない私ですが、今回たまたまおもしろそうなのを見つけたので読んでみました。
で、おもしろかったのでレビュー。

バウンダーズ この世で最も邪悪なゲーム
(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著/和泉裕子訳、PHP研究所、2004年11月08日、1995円)

イギリスで生まれた少年ジェイミーは、弟と妹と暮らす普通の少年だった。
古城と呼ばれる場所で、不可解なゲームをする“あいつら”に捕らえられ、ゲームの世界に放り投げられてしまうまでは……。
鉱山の世界、大神殿の世界、戦場の世界、けだものたちの世界など、ひとつの世界から次の世界へとさまようジェイミーの旅がはじまった。
この邪悪なゲームのルールは何か?
もとの世界に、自分の家に帰ることはできるのか?
ゲームに翻弄されつつも、彼は、故郷を失った奇妙な生命体ヘレンと、悪魔ハンター・ヨリスに出会い、同盟を結ぶ。
「バウンダーズ」達は、必死でチャンスをつかみ、帰途を見いだす反撃の計画を立てるのだった。

(上記サイトより引用)

同一作者の作品に『魔法使いハウルと火の悪魔』。
つまりかのジブリ映画『ハウルの動く城』と同一作者の作品です。

舞台設定がおもしろいですね!
多次元の世界をまるっとゲームのフィールドにして、主人公たちバウンダーズはそれらの世界をさまよい続けないといけないというね。
専門用語を多用しててちょっと分かりにくいところもあったんですが、一種のTRPGのような設定でした。
先輩面ふかして失敗しまくるジェイミーとそれをいじるバウンダーズ仲間たちとか、キャラ同士のやりとりは和書にない特有のおもしろさがあります。

しかし久々に洋書を読んで思うんですが、洋書と和書って完全に別モノですよね。
ライトノベルと純文学に歴然とした差異があるくらい、読んでて受ける印象がはっきりと違います。
洋書の中でもバウンダーズはハリポタに近い読み口でしたが、他に私の読んだバーティミアスやジーヴスを考えても和書とは明確に違う気がする。
パッと思いつくのは、洋書は基本的に一人称小説だということでしょうか。
でも同じ一人称小説のライトノベルとも何か違う、私のイメージではライトノベルは洋書と和書の中間って感じ。
しかし私の読んだ洋書ってファンタジーモノのわりと若者向けのヤツなんで、それと一般小説とを比べるのも何か違うか。

話が変な方向にずれました、ともかくおもしろかったです。
終盤は駆け足でしたけど、さまよえるオランダ人なんかの伝承もからめた世界観、一見の価値ありです。
ハリポタをおもしろいと感じて多少凝った設定にもついていける人なら、読んでみては。
今日はここまで、あでゅ~。

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おもしろい本を読んだのでレビューをば。
様々なことばの「音」が与える意識への影響を考察した本です。

怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか
(黒川伊保子、新潮新書、2004年7月20日発行、680円税別)

ゴジラ、ガメラ、ガンダム等、男の子が好きなものの名前にはなぜ濁音が含まれるのか。
カローラ、カマロ、セドリック等、売れる自動車にC音が多いのはなぜか。
キツネがタヌキよりズルそうなのはなぜか。
すべての鍵は、脳に潜在的に語りかける「音の力」にあった!
脳科学、物理学、言語学を縦横無尽に駆使して「ことばの音」のサブリミナル効果を明らかにする、まったく新しいことば理論。

(上記のリンクより引用)

内容は上述の通り。
濁音が入る名前は強そう、K音は硬くて乾いており(カンカン、カラカラ、コツコツ)、N音はやわらかくて粘性を帯びている(ヌルヌル、ニチャニチャ、ナヨナヨ)といった誰もが共通して感じるイメージを、なぜそうなるのか考察した本です。

この内容の特徴的なところは、それらの音が「なんとなくそう感じる」という感覚的・抽象的なイメージを、発声のメカニズムという解剖学的・物質的な側面からアプローチしているところ。
K音が持つ硬いイメージは、発音の際に声帯を引きしぼる感覚から来ており、のどから抜けた空気は口腔をほとんどとどまらず一気に排出され、それがスピード感と唾液の湿度が混じりにくいことによる乾いた感覚を引き起こすのだとか。
こういった考察をすべての発音に対してしていくわけですが、これがなかなか筋が通っていて興味深いです。

そして考察は、それら音のイメージからどのような音を用いれば客の購買意欲をかきたてられるかという商業戦略にまで及びます。
車の名前にC音が多いのは、その音がスピード感やエンジンの回転を連想させる車のイメージにピタリと合ったものだからと言います。
トマトジュース市場でカゴメが君臨するのは、「カゴメ」という音が甘みのイメージを持つから、同じくトマトジュースを出している「キリン」が劣勢なのは、その音がもつさわやかさが清涼飲料には有利でもトマトジュースのイメージにはそぐわないから、と述べています。
(もちろん断言はせず、一要因として考えられるという述べ方です)
音のイメージが商品のイメージとピタリ合わせることで、消費者の心理を惹きつけるというのは興味深いです。

音のイメージといえば、私の場合、意識してないと創作物のキャラ名がやたらRに偏るんですよね。
現行の作品群でも朱狼、李乃、阿牙鳴、雷牙、理依渡、瑠架etc...
これもR音の持つイメージが、私の欲するキャラ像に近いのかもしれません。
この本によれば名前にRが入ると理知的なイメージを生むそうで、確かに私のキャラって頭がいい、少なくとも頭を使うキャラが多くいます。
逆に美智姫が名実ともに美智姫奇譚の主人公なら、もっと華やかさを全面的に押し出して血みどろの戦いは減ったかもしれないなー。

などと考えつつ、とても興味深い内容でした。
今日はここまで、あでゅ~。

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