海面からの上昇気流によって、シュガーとルナはいつもの部屋に戻っていた。
窓からはもう、居待ちの月がのぞいていた。
シュガーは結局、ただのぬいぐるみにすぎなかった。
木箱はルナたちのいない間に、動かされた形跡があった。
ルナはシュガーに顔を向けた。
板張りの床に倒れたシュガーは、もうぴくりとも動かなかった。
ルナはシュガーを抱きかかえて、その顔を見つめた。
それからその耳にくちびるを押し当てると、ルナはもごもごと口を動かした。
ありがとう
シュガーの笑顔は、ルナに届いただろうか。
(終)
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