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夏休みが終わります。
後期は実務実習に向けての事前実習やCBTというプレ国家試験みたいな試験があったりで、どんなことになるかまったくの謎です。
それとは別に、今日はブックレビュー。

詩羽のいる街
(山本弘、角川書店、平成20年9月30日初版、1800円+税)

タイトルにある詩羽(しいは)という女性が、この物語の中心人物。
彼女はお金を一銭も持たず、居住地もない。
そんな彼女がなりわいとしているのが、「人に親切にすること」。
詩羽は人に親切をし、人と人とのつながりを形成し、彼女にかかわるすべての人を幸福にさせ、そのお礼によって衣食住をまかなっている。
「存在自体が奇跡の人」詩羽がつむぐ、ご町内感動系物語。

なかなかに興味深くて独特の内容でした。
オビで乙一氏が推薦してるんですが、そのコメントの中に「『おもいでエマノン』をおもいだした」とのこと。
エマノンは前にマンガの方を読んだんですが、なるほど言われてみれば。
とはいえ乙一氏が指してるのは小説版の原作のはずなんで、そっちも読んどきたいですね。

話がそれたので、内容について。
詩羽のやってることはなかなかに突飛ですが、基本的には日常の物語で、やろうと思えば実践できなくもない内容です。
一人称視点のつむぎ方がとりわけ第一話ですばらしく、マンガ家志望(というか担当ついてる)の語り部が見聞きする内容の合間合間に「これをどうマンガに活かすか」って思考が入ってくるのが実にいいですね。
一人称視点の利点は状況描写をしながら語り部のキャラを掘り下げられることだと思うんで、これはうまい具合に機能してます。

ただ読みにくい点も挙げとくと、作者の意見・思想が強く出すぎているところ。
劇中で物語の中に作者の意見が見えることについての是非が議論されてるので自覚の上だと思いますが、この人にとっての正義とか世の中の不満とかがわりかし前面に押し出されてます。
この辺が共感できないと読むのはつらいし、そうでなくても作者の思想が見える時点で嫌悪感を示す読者も多かろうと思います。
私も自分の作品には私自身があまり見えないようにしているため、この部分はどうにも好きになれないんですが。
この辺は人それぞれでしょうから、気にならない人だけ読めばいいのかも。
あと文字が22行/ページ×45字/行とかなりぎゅうぎゅうしてるので、慣れないとけっこう読みにくいかも。

今日はここまで、あでゅ~。

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