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キッカーの不定期更新日記 (四季来々トップへはカレンダー下のリンクから戻れます)
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花澄
「♪~♪~」

彩乃
「む、夕暮れの商店街をゴキゲンな鼻歌で闊歩しているあれは脱いだらスゴイ黒井花澄」

花澄
「いつあたしの脱いだところを見たのよ。
そしてあたしはまだ黒井じゃないから。
彩乃ちゃん今帰り? ランドセル似合ってるわね」

彩乃
「……なんだかバカにされてる気がする」

花澄
「なんでよ、いいことじゃない。
その格好の方がいいわよ、あんなインラインスケートと軍隊みたいなリュックより。
子供は子供らしく、それが一番なんだから」

彩乃
「……機嫌よさそうだったけど、なんかあったの?」

花澄
「えへへ、雷牙に映画誘われたのよ。
見たかったのよねー、『アイゼンマン2』。
イケメン社長がアイゼンマンスーツ着て、白装束で空飛んで完全催眠使うのよ」

彩乃「……」
(『まだ』ってことは、将来的には黒井になるつもりなんだよね……)

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海面からの上昇気流によって、シュガーとルナはいつもの部屋に戻っていた。
窓からはもう、居待ちの月がのぞいていた。
シュガーは結局、ただのぬいぐるみにすぎなかった。
木箱はルナたちのいない間に、動かされた形跡があった。

ルナはシュガーに顔を向けた。
板張りの床に倒れたシュガーは、もうぴくりとも動かなかった。
ルナはシュガーを抱きかかえて、その顔を見つめた。
それからその耳にくちびるを押し当てると、ルナはもごもごと口を動かした。



 ありがとう



シュガーの笑顔は、ルナに届いただろうか。

(終)

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シュガーは宙に浮いた。
ルナを背中に乗せて、広大な海の上を浮きもせず沈みもせず滑空した。
シュガーの眼下には青い海がきらめいて、眼前には青い空が輝いた。
シュガーは両手を広げて風を受けた。
カモメが滑るように寄り添って、シュガーの横を並走した。
こうこうという声が、シュガーの身を取り囲んだ。
シュガーは、完全に飛んでいた。
ただひとつ、シュガーからはルナの顔が見えなかった。
シュガーはルナの顔が見たかった。
だからシュガーは、体を少しねじった。
バランスが崩れた。
シュガーの浴びる風が変わった。
カモメは一斉に離れていった。
二人の体はきりもみ打った。
ぽっかりと口を開けた青い青い海へ、二人はくるくると回りながら吸い込まれていった。

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朝はやって来た。
ルナは目を覚ました。
シュガーはそのとき、窓辺にいて外をながめていた。
ルナは水道で顔を洗って、木箱のリンゴを朝食にした。
木箱はやはり、夜のうちに動かされた形跡があった。

ルナはシュガーに顔を向けた。
シュガーはずっと、窓の外を見ていた。
ルナはシュガーのそばに寄りそった。
シュガーには、新たな決意があった。
シュガーはルナを振り返ると、心の中で決意を言葉にした。

(今のボクは奇跡を起こせる。
ルナのために奇跡を起こせる。
ボクがルナに一番してあげたいことは、ルナを外の世界に連れていくことなんだ)

シュガーは窓枠に飛び乗った。
ルナはずっとシュガーを見ていた。
シュガーは窓に手をかけた。
しばらく、シュガーは何も動かなかった。
それからついに覚悟を決めると、シュガーは一気に窓を押し開けた。

外には、海が広がっていた。

窓が開いた瞬間、強い風が吹き込んできた。
潮風の香りが、ルナの嗅覚をなでた。
シュガーは眼下をのぞき込んだ。
吸い込まれそうなほど真っ青な海が、はるか下にひろびろと横たわっていた。
シュガーは足がすくんだ。
カモメがこうこうと、あっちからこっちから飛びかっていた。
そこは海の真上だった。
広い海のど真ん中に、窓だけがぽっかりと浮かんでいた。

シュガーは振り返った。
ルナの金色の瞳が、シュガーをまっすぐに見つめていた。
その瞳からは、恐れや期待などのさまざまな感情が読み取れた。
シュガーはこぶしをにぎりしめた。
沸き上がる恐怖を押さえつけながら、シュガーは自分に言い聞かせた。

(動けないはずのボクが動ける。
水を氷に変えることもできた。
それならば、ぬいぐるみが空を飛べたって、何もおかしくはないんだ)

シュガーは手を差し出した。
ルナはとまどいながら、その手を取った。
シュガーはルナの手を、自身の肩に回した。
そうしてルナを背負う形になると、シュガーは窓の外へと向き直った。
海と空は青くて、そして途方もなく広かった。
カモメはこうこうと、せかすように止めるように鳴き続けた。
シュガーは震える自身の足をしかりつけた。
それからしばらく直立した。
そうして一発、気合いを込めた。

(飛ぶんだっ)

シュガーの足が、窓枠を蹴り出した。

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それからルナは、氷を抱いて歌を歌った。
無音の歌に合わせて、シュガーは軽快な踊りを踊ってみせた。
ルナは氷を抱きながら笑った。
それからシュガーを抱いて、また笑った。

あっという間に夜になって、窓からは立ち待ちの月が見えた。
ルナはシュガーを抱いて横になった。
月明かりは二人を、ひかえめに照らした。
ルナは一度シュガーを強く抱きしめると、その頭にほおをすり寄せた。
それからほどなくして、ルナからすうすうと寝息が聞こえた。
シュガーはルナの腕の中で、ルナの手と自分自身をきつく抱きしめた。
溶けた氷が、木箱の間に染み込んでいった。

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